妊娠前・妊娠中 約4分で読めます
妊娠中の食事で気をつけること|生もの・チーズ・魚を安全に選ぶ確認表
妊娠中に問題になりやすいリステリアなどの食中毒、加熱・洗浄・保存の基本、魚の水銀情報を日本と海外の公的資料から整理します。
まず、知っておきたいこと
妊娠中は食事を極端に制限するより、未加熱・未殺菌の食品、長く冷蔵したそのまま食べる食品を避け、手洗い・生熟分け・十分な加熱・期限管理を組み合わせます。魚は種類と量を日本の案内で確認し、発熱や体調不良があれば食べた食品をメモして医療機関へ相談します。
一般的な情報であり、個別の診断・治療の代わりにはなりません。医療者による監修は受けていません。
妊娠中の食品を選ぶ4つの確認
表示を見る
殺菌、加熱済み、保存方法、使用期限を確認する。
分けて扱う
生肉・生魚とそのまま食べる食品の器具と置き場所を分ける。
洗って加熱する
農産物を洗い、肉・魚・卵は中心まで十分に加熱する。
記録して相談する
体調不良時は食品名・日時・保存状態をメモして相談する。
まず押さえる考え方
妊娠中は、リステリアなど一部の食中毒が母体だけでなく胎盤や胎児に影響することがあります。厚生労働省は、妊婦では少量のリステリアでも発症しうること、冷蔵庫内でも増殖できることを説明しています。厚生労働省の解説では、食べる前によく洗う、期限内に食べる、開封後は速やかに消費する、加熱する、といった家庭での対策が示されています。
妊娠中はすべての生もの禁止とする一律ルールより、商品表示、加熱の有無、保存状態を一品ごとに見るほうが実用的です。国によって食品規格や食習慣は異なるため、海外サイトの例を日本の法律や自治体の案内と混同しないようにします。
迷ったときの選び方
| 食品・場面 | より安全な選択 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 肉・魚介・卵 | 中心まで十分に加熱 | 赤み・半熟・生の汁が残っていないか |
| 生ハム、パテ、冷蔵スモーク魚 | 中心まで十分に加熱し、商品表示に従う、または避ける | 冷蔵のまま食べる商品か |
| ナチュラルチーズ | 対象食品か、殺菌表示と加熱工程を確認し、迷う場合は中心まで十分に加熱 | 原料乳、商品表示、加熱工程 |
| 生野菜・果物 | 流水でよく洗い、器具を清潔にする | カット後の保存時間と温度 |
| 料理の保存 | 表示どおり冷蔵し、開封後は早めに食べる | 冷蔵日、開封日、使用期限 |
米国CDCの妊婦向け表は、未加熱の肉・卵、未殺菌乳とその製品、洗っていない農産物をリスクの高い選択として挙げ、洗浄・分離・加熱・冷却の4段階を勧めています。CDCの表には米国の温度表示(華氏)が使われています。日本では商品表示や公的案内に従い、中心まで加熱するという考え方を使います。
リステリアは冷蔵でも増えうるため、冷蔵庫に入れたから無期限に安全とは言えません。英国NHSも、妊娠中は冷蔵のまま食べる食品や未加熱・未殺菌食品の選択に注意し、使用期限や保存表示を守るよう案内しています。NHSの説明は英国の運用例なので、日本の商品表示を優先してください。
魚は種類と量を確認する
魚介類は栄養源になる一方、種類によって水銀濃度が異なります。厚生労働省の妊産婦向け資料は、魚を一律に避けるのではなく、種類と摂取頻度を確認する考え方を示しています。厚生労働省の案内にある魚種別の目安を確認し、同じ大型魚を続けて食べないよう献立を分散します。水銀の表はリステリア対策や魚の生食可否とは別の情報です。
刺身や寿司、加熱していない貝類は、水銀とは別に食中毒のリスクがあります。魚種名や1食の単位は国によって異なるため、日本の表示と公的な魚種別案内を優先します。
リステリアが心配になったら
厚生労働省によれば、国内の食品からリステリアが検出されることはありますが、食品由来リステリア症はまれです。感染が疑われる食品を一度食べたからといって、症状がなければ直ちに検査が必要とは限りません。一方、妊娠中に発熱、悪寒、筋肉痛、下痢などが出た、または胎動の変化が気になる場合は、食べた日時・食品名・保存状態をメモして産婦人科へ連絡します。
食品と妊娠関連リステリア症を調べた系統的レビューでは、未殺菌乳製品、軟質チーズ、加熱不足の肉、燻製・加工肉、すぐ食べる調理済み食品が、症例で多く報告された食品群と一致しました。ただし11研究の多くは米国の症例対照・横断研究で、国や食品流通の違いを超えて個人の発症確率を計算したものではありません。系統的レビューの関連を、食べたら必ず発症するという因果に読み替えないでください。
買い物と調理のメモ
- 原料乳の殺菌表示、加熱済みかどうかを見た
- 生肉用とそのまま食べる食品の器具を分けた
- 野菜・果物を流水で洗った
- 冷蔵品の開封日と使用期限をメモした
- 魚は種類を分散し、日本の魚種別の目安を確認した
- 発熱や強い胃腸症状があれば相談先を決めている
食べるものを減らすことより、表示と保存を確認する習慣を家族で共有します。外食やもらった料理で調理日・保管温度・加熱の有無が分からないときは、店や作った人へ確認しましょう。
外食・作り置きで迷ったら
外食では、注文時に肉・魚・卵が十分に加熱されているか、チーズや乳製品が殺菌済みかを確認します。作り置きは作った日、冷蔵した時刻、開封日を容器に書き、保存条件が分からない料理は無理に食べません。冷蔵庫の温度だけで食品の安全を判断せず、期限・表示・加熱の3点を家族で確認します。
食材を買ったら、生肉・生魚を先に袋へ入れ、帰宅後はそのまま食べる食品と分けて保管します。調理後の料理を別の皿へ取り分けるときも、生の食材に使った箸やトングを使い回さないようにします。
根拠をたどる
参考文献と、この情報の範囲
資料の推奨と研究結果は同じ意味ではありません。対象者・国・調査方法による限界もあわせて確認してください。資料確認日:2026年9月8日。
- リステリアによる食中毒 ↗
厚生労働省 / 更新年記載なし(2026-09-08確認) / 公的解説
対象・採用した内容・限界を見る
- 対象
- 日本の消費者、特に妊婦・高齢者・免疫機能が低下した人
- 本記事で参照した内容
- リステリアは4℃以下でも増殖でき、加熱で死滅する。
- 妊婦では少量でも発症しうることがあり、胎盤・胎児への感染や流産などに注意が必要。
- 生ハム、未殺菌乳・ナチュラルチーズ、スモークサーモンなどが原因食品例。
- 食品は期限内に食べ、開封後は速やかに消費し、洗浄と加熱を行う。
- 解釈の限界
- 国内の推定患者数や統計には調査年が明記される。食品ごとの個人発症確率を示す資料ではない。
- Safer Food Choices for Pregnant Women ↗
Centers for Disease Control and Prevention / 2025 / 公的ガイド
対象・採用した内容・限界を見る
- 対象
- 米国の妊婦向け食品安全情報
- 本記事で参照した内容
- 妊婦はリステリアなど食品由来病原体で病気になる可能性が高い。
- 未加熱肉・卵、未殺菌乳製品、洗っていない農産物などをリスクの高い選択としている。
- 食品安全の4段階はclean、separate、cook、chill。
- 解釈の限界
- 加熱温度は華氏で米国の食品基準に基づく。日本の商品表示・食品規格にそのまま置き換えない。
- Listeriosis ↗
NHS / 2023(2026-09-08確認) / 公的患者向け情報
対象・採用した内容・限界を見る
- 対象
- 英国の妊婦などリスクの高い人
- 本記事で参照した内容
- 妊娠中は冷蔵のそのまま食べる食品などに注意が必要。
- 英国の例として冷蔵庫5℃以下、庫外4時間以内、開封後2日以内を示す。
- 妊娠中に発熱などリステリアが疑われる場合は医療者へ相談する。
- 解釈の限界
- 英国の食品表示・冷蔵運用を含む。日本の制度・商品表示を優先する。
- 魚介類に含まれる水銀について ↗
厚生労働省 / 更新年記載なし(2026-09-08確認) / 公的案内
対象・採用した内容・限界を見る
- 対象
- 妊婦を含む魚介類を食べる人
- 本記事で参照した内容
- 魚介類はEPA・DHAなどの栄養源だが、一部は水銀濃度が高い。
- 妊娠中の魚介類摂取について注意事項を確認できる。
- 高濃度の魚介類を偏って多量に食べることを避け、魚食の利点を活かす考え方を示す。
- 解釈の限界
- 掲載されている妊婦向け魚種別注意事項は平成22年6月改訂。魚種・摂取頻度の目安や制度は最新ページ・資料で再確認する。
- Nutrition and listeriosis during pregnancy: a systematic review ↗
Proceedings of the Nutrition Society / Cambridge University Press / 2018 / 系統的レビュー
対象・採用した内容・限界を見る
- 対象
- 妊婦または新生児を対象としたリステリア症関連11研究
- 本記事で参照した内容
- 未殺菌乳製品、軟質チーズ、加熱不足・未加熱・燻製・加工肉、調理済み食品などが症例で多く報告された。
- 症例対照または横断研究で、関連を個人の因果や発症確率として解釈できない。
- 解釈の限界
- 臨床的異質性のため叙述的統合。7/11研究が米国で、他地域への一般化に限界。